未来にのぞむ領域

未来にのぞむ領域

環境配慮設計(ZEB)。コンピューテーショナルデザイン。電気設計(照明計画)。
「設計×テクノロジー」で未来を切り拓いていく松田平田設計が注目する最先端の3領域をご紹介します。

  

環境配慮設計ZEB建築

ZEBという形で脱炭素社会へ貢献。

建築においても近年省エネルギー化が一層求められており、ZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)が1つの指標となっています。ZEBとは標準的な建物と比べて年間の一次エネルギー消費量を50%以上削減した建物です。日本のエネルギー消費量のうち建設及び建物の運用に関わるエネルギー消費量が占める割合は非常に大きく、建築において省エネルギー化することに多大な意義があります。 例えば、効率の高い空調システムや照明制御システムの設計等による「省エネ」と、太陽光発電設備の導入等による「創エネ」を適切に組み合わせることで様々な用途の建物でZEBを達成することができます。

ZEBによるエネルギー消費量の低減と同時に居住者の健康性、ウェルネスについても考える必要があります。単にエネルギー消費量を少なくした建物で快適性を損なってしまっては居住者のウェルネスが低下し、生産性の低下や欠勤率の上昇に繋がってしまいます。省エネルギー化と同時に様々な技術や知見を組み合わせて快適性を確保することも大切です。

ZEBの達成にはエネルギー消費量削減を目指して建築計画や空調設備計画、照明設備計画を全体の建築計画として融合させることが必要不可欠です。ZEBを通して社会的な目標である脱炭素社会の実現に大きく貢献することができ、設計者がその中で大きな役割を担っています。

建物は竣工した後は建築主に引き渡す形となりますが、運用時のコミッショニングも重要です。特にZEB建築ではエネルギー消費量削減に向けて丁寧なコミッショニングが必要で、運用段階も含めて設計者が建物と関わり続けます。

環境設計部
伊藤 安里

電気設計照明計画

あらゆる建物に、命を吹き込む仕事です。

どんなに優れた建物も、電気がなければただの箱です。文字通り建物にとって生命線ともいえる電気の制御を一手に担うのが、電気設計部の役割になります。何より大切なのは24時間365日、常に電気を安定供給すること。病院やデータセンターといった施設では、停電どころか一瞬の電圧低下さえも命取りです。UPSと発電機を組み合わせるなど何重にも策を講じて、あらゆる不測の自体に備えます。責任重大ですが、その分やりがいも大きな仕事です。

縁の下の力持ちのように見えますが、目に見えて華やかな仕事を手がけることもあります。たとえば建物を彩る照明設備。特に横浜の日産スタジアムのような競技場のナイター設備は私たちの十八番です。これら施設では「オリンピック放送機構による水準」を満足させる世界最高峰の照明が求められます。技術者として、これほど腕が鳴る仕事はありません。ほかだとボートレース下関、ボートレース大村のナイター照明も手がけました。水面の反射なども計算しなければならないハイレベルな仕事です。このときは3DCGを駆使してシミュレーションを行った上で、ドローンを飛ばして上空からも明るさをチェック。その上で選手に何度も試走してもらい、最終的には職人の手作業でライトを微調整して完成へとこぎ着けました。

最先端の技術から職人技まで、幅広い手段や知識を手にしないと務まらないのが松田平田の電気設計です。ここでは常に貪欲に学び続ける姿勢が求められますが、新しいことに挑戦し続けたい好奇心旺盛な人間にとって、これほど面白い仕事はないと思います。

環境設計部
林 宗寿

コンピューテーショナルデザイン

未だ無限の可能性を求めて、学び続ける姿勢が求められる分野。

コンピュテーショナルデザインとは、コンピュータープログラムを利用した設計手法の総称です。例えば、プログラムを利用し自動で試行を繰り返すことで、最適な空間構成を見出したり、最適な部材サイズを導き出す手法のことです。パラメトリックに導き出された案の中から、建物コストや環境指標などの目的に、より合致した案を設計者が選択し決定していきます。これまで時間をかけてきた手作業が少なくなり、設計者はより多くの時間をクリエイティブなプロセスに充てられるようになるのが利点です。

当社がこれを利用したケースを上げると、ひとつには映画館。全利用者が快適に映画を楽しめるよう、最適な客席の段数と高さを導き出しました。その他にも体育館屋根を構成する梁サイズを最小化するような屋根形状を導き出したりしました。

コンピュテーショナルデザインは、利用すること自体は珍しいことではなくなりつつあります。しかし、利用の仕方にはまだまだ創意工夫の余地があり、今後現れるであろう新たな技術も取り込みながら、今後も発展し続けていく分野です。技術更新の早いこうした分野への取り組みは、それを学び続ける姿勢が最も大切であると考えています。ベテラン、若手の区別なく、新しい分野へ挑戦し学び続ける気概のある人が求められています。私は構造設計部に所属していますが、プログラミングの知識を生かしながら、構造設計の枠を超えた提案を出来るよう日々、挑戦と学びを意識しながら業務を行っています。コンピュテーショナルデザインは意匠、構造、環境といった枠組みを超えた提案力も求められる分野であると感じています。

構造設計部
柳沼 大樹
PAGE TOP