ZEB
to MHS100 and Beyond |2022.11.16

ZEB
建物の価値を左右するエネルギー収支

ZEB

Net Zero Energy Building

建物の価値を左右するエネルギー収支

Energy Balance Determining the Building Value

建物の消費エネルギーをどう抑制していくかは社会の大きな関心事であり、過大なエネルギー消費を抑えられない建物は、評価を落とす時代となっています。グローバル経済において、環境的、社会的に持続可能性の高い事業への投資傾向が明白で、大きな潮流となっているからです。そこで関心が集まっているのが、ZEB(Net Zero Energy Building)。エネルギーの消費と生産の収支をゼロに抑えた建物です。エネルギー消費を限りなく低減させた上で、さらにその消費分を再生可能エネルギーで自らつくり補う、エネルギー的に自立した建物で、その実現のためにハード面、ソフト面から様々な技術革新が始まっています。しかしその実現には社会貢献にとどまらない、事業合理性に合致させる必要があり、MHSでは総合的なマネジメント技術を蓄積しつつあります。

ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)を
指向する社会

ZEB(Net Zero Energy Building)-Oriented Society

現在、政府が主導する2050年CO2削減目標の達成に向けて、早急なZEBの普及拡大が求められており、SDGsの視点も含め社会の関心も非常に高まっています。
 具体的には、2014年エネルギー基本計画(2014年4月閣議決定)にて、建築物は2020年までに新築公共建築物で、2030年までに新築建築物の平均でZEBを目指す指針が示されています。
 建設業界でも2016年からスタートした国土交通省によるBELS認証制度により具体的な目標が設置されたことにより、補助金制度の拡充と相まって、普及が加速しています。
 国土交通省のレポートでもZEBを含むESG不動産については、不動産価値が向上するとの調査結果が出され、そのような環境配慮活動を行う企業に対し、投資家による企業への投資選別の対象にもなるとの見解も示めされています。

ZEBMHSが志向するZEBと
快適性の両立

MHS’ Aspiration of Balancing ZEB and Comfort

MHSはZEBを社会的な課題解決の一助として考えるだけでなく、ESG不動産としての社会資産を持ちたいと思われている建築主の思いを積極的にサポートしたいと考えています。

MHSメソッドfor ZEB
自然エネルギーの積極利用と居住者のウェルネス向上

MHS Method for ZEB
――Active Use of Natural Energy and Improvement in User’s Wellness

MHSは基本設計時の初期段階から、クライアントに対し可能性のある全プロジェクトについて、ライフサイクルコスト低減やBCP性能に優れたZEBの可能性を提案します。ZEBの検討は建物の平面計画や設備システムの構築に大きく関わる為、設計の初期段階からZEBを視野に入れた検討を行うことが必要です。SDGs上の意義や社会性に対するインパクトの説明を行いながら、プロジェクトの目指すレベルを設定する。ゴールに向けて提案のキャッチボールを続けながらBELS計算を駆使し認証まで導きます。
 一方、ZEBの問題点として建設コストがあります。不動産価値は高まるものの、経済産業省レポートでも10,000㎡規模のオフィスでZEB Readyを実現するために建設コストは約10~13%以上上昇するといわれています。MHSは、単なる設計上のZEBへの導きではなく、そのコスト面の課題をクリアすべく、プロジェクト実現のための予算サポートとなる補助金使用の可能性についても、ファシリティ・マネンジメントの観点を踏まえてクライアントに対し積極的にコンサルティングします。
 具体的には、年度毎の国の補助金動向、複数選択肢がある場合は当該プロジェクトにフィットするもの、最大のメリットが享受できる補助金を提示し、そのためのプロジェクト工程も提案します。またZEBプランナーの関与が必須となる申請業務についても、MHSはそのライセンスだけではなく建築主と一体となって取組み、申請、採択時、年度末及び竣工後など様々な報告・手続きに対してもサポートします。

環境建築のあるべき姿として定着したZEBは、いまや自然との融合や健康的な生活環境の質の実現が重要なテーマとなりつつあります。ZEBの実現により環境負荷の低減や自然エネルギー利用を積極的に行い、室内環境を適正に維持しながら執務者・居住者のウェルネス向上を目指すことが命題となります。MHSは組織設計事務所として、意匠・構造・環境スタッフとの価値共有の上に、省エネルギーかつ魅力ある「ZEB建築」をつくり出しています。その前提にあるのは、クライアントの立場に立って、意匠・技術至上主義に走らず、補助金の活用などコスト管理も行いながら、ユーザーが省エネルギーでありながら健康かつ快適に過ごせる建築室内環境を最も効率よく提供していく姿勢にあるといえます。私たちはこの姿勢を継続し、先進的なZEBを提供していきます。

CASE | 01輻射空調

Radiant air conditioning

一般の空調方式は冷たい/暖かい風を送り出すシステムであるのに対し、輻射空調は天井面や床面自体を冷やす/暖めることで空調を行うシステムでありZEBや室内の温熱快適性を追求する中で注目されているシステムです。システムの構成としては、熱源でつくった冷温水を輻射空調システムへ送水する形や、空調空気を床材の中に流すシステムがあるが、いずれのシステムも熱の伝わり方が一般空調システムと大きく異なります。
 一般空調は熱伝導や空気の対流を利用する方式に対し、輻射空調は放射熱伝達を利用した空調システムです。放射熱伝達は遠赤外線ストーブなどと同じ仕組みであり、夏にトンネルに入った時に涼しく感じるのも同じ原理です。また、輻射空調では放射熱伝達を利用し温度差の大きい箇所から順に熱伝達を行うため、平面的な温度ムラが少なく上下方向の温度分布も均一となり居住者の温熱快適性が高くなることが特徴です。一方、輻射空調は室内の湿度管理を行うことが難しいため、湿度管理については別のシステムを構築する必要があります。
 MHSの実績として、庁舎初のZEB認証を取得した「開成町新庁舎」で輻射空調システムを採用しています。床輻射・天井輻射空調システムを全面に採用して、快適性を追求しているのに加えてエネルギー消費量を一般建物と比較して75%低減させるシステムを計画しました。輻射空調を利用することで水を利用して熱を搬送するシステムとしているため、空気による熱搬送と比較して搬送にかかる消費電力を大きく削減しています。

CASE | 02地中熱利用

Geothermal heat utilization

空調設備の熱源のエネルギー源は一般のルームエアコンではヒートポンプを利用して空気の熱を利用するのに対し、未利用エネルギーである地中熱を利用したシステムです。ルームエアコンなどのヒートポンプを利用した空調熱源システムでは外気温度により運転効率が変動しますが、地中熱ヒートポンプは安定した地中の温度を利用するため高効率かつ安定した運転が可能です。 開成町新庁舎では地中熱ヒートポンプチラーを採用し、空調熱源の約25%を地中熱利用システムとしています。開成町は上水に井戸水利用をするなど地下水が豊富な土地であるため、空調の熱源として地中熱利用を計画しました。外構に100mの地中熱交換杭を7本敷設し、地中熱交換杭の中に熱源水を循環させることで地下水に放熱し熱源運転を行っています。地中熱ヒートポンプチラーは熱源の運転効率(COP)が非常に高く、かつ地中熱交換杭を密閉回路とすることにより循環ポンプの能力を小さく計画していて、非常に小さな電力で熱源の運転が可能です。

CASE | 03 室内環境測定

Health program support

開成町新庁舎では現在室内環境測定及び室内環境満足度調査を行なっており、輻射空調の温熱快適性への効果を検証し、ZEBと快適性の両立が適切にできているかの評価や、今後の設計に役立てる知見獲得の取組みを積極的に行っています。あわせてBEMSのデータを活用することにより、地中熱ヒートポンプチラーを含めた効率的な熱源の運転方法をコミッショニングしています。

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