ZEB-1 開成町
Topics |2020.12.22

ZEB建築への取り組み
国内初の Nearly ZEB庁舎、開成町新庁舎

松田平田設計では、「人に寄り添う」をキーワードに設計を行っています。
30年以上取り組んできた環境技術を発揮し消費エネルギーを削減した庁舎は、国内で初のZEB認証を受けた庁舎となりました。 「環境を通して、人に寄り添う建物」を設計しています。

国内初の Nearly ZEB 庁舎

開成町新庁舎は省エネルギーや再生可能エネルギーの活用により ”ゼロ エネルギー ビル”[ZEB]の認証を国から受けた初めての庁舎です。


<取得した認証>



消費エネルギーを81%削減できる庁舎

開成町新庁舎は、2018年4月に庁舎として国内初のBELS認証によるZEB認証(Nearly ZEB:最終値BEI=0.19[削減率81%])を取得しました。政府のエネルギー基本計画(2014年閣議決定)では、2020年迄に新築公共建築物でZEBの達成を目標に掲げており、開成町新庁舎が初めてこの計画に該当します。

敷地は神奈川県西部足柄上郡の開成町中央部に位置しています。周囲には自然豊かな丹沢山が広がり、酒匂川と張り巡らされた農業用水路による水資源が豊富な町です。地下水脈も豊富で、水質も良いことから町の上水の供給は地下水で賄われています。また、開成町は“あじさい”を町の花と指定しており、あじさい祭りを行う等、水脈を活かして町内の自然整備にも力を入れています。

新庁舎は設計者選定の段階からZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)の達成を目標に掲げており、省エネルギーによるランニングコストの低減や、BCP対応を目標としていました。

選定を受け、設計を担当させていただいた開成町新庁舎は、平成30年度、31年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金事業に採択を経て、国内初のZEB庁舎として誕生しました。






ZEBを目指す、建築・構造・設備が一体となった計画

ZEB庁舎は省エネ設備の多用だけでは実現しません。

環境負荷を高めないよう建物が必要とする規模を確保しながら、外周長を小さくする適切なボリューム設定を行いました。また大空間が必要となるホールを北側に配置し、日射による負荷を下げています。

建物の安全性を高めるために用いられている免震ピットは、空調用の外気取り入れの際に、クール/ヒートトレンチとして活用しています。

設計初期の段階でZEB達成を目標として建築・構造・設備が一体となった計画を行っています。平面形状やゾーニング、外皮性能により省エネ性能の向上を図っています。





意匠・構造・設備が調和した外皮計画

1階の北側に配置した町民プラザ部は大きなガラスを使用し開放的な空間としています。吹き抜け上部には町の花”あじさい”をデザインのモチーフとした木格子ルーバー”あじさいパネル”を設置しました。あじさいパネルはガラス面とダブルスキンとなり、遮熱効果を高めています。また耐力壁として構造面から建物の安全性を高めています。

あじさいのモチーフは、天井の市松模様の木格子につながっています。





熱負荷の少ない昼光導入装置

1階町民プラザ吹抜け上部、2階執務室上部には昼光導入装置であるAnydolic Daylighting System(以下ADS)を設けたハイサイドライトを設置し自然採光を行う計画としました。

ADSは二次曲面のミラーを使用して太陽の位置や角度に左右されずに、安定した自然光を室内に取り込むことができる装置です。開成町庁舎では北面からの自然光を効率よく取り入れています。北側からの柔らかい光を取り込むことで、空調負荷を高めることなく照度を確保することを目的としました。

コンピュータモデルを用いた採光シミュレーションによる理論値の設定や、1/20サイズ模型による実験を重ね、計画に最適な装置を作り上げました。(協力:東北大学小林光研究室)











室内環境を犠牲にせず、省エネを実現した空調計画

空調熱源設備として、水蓄熱槽、高効率空冷ヒートポンプモジュールチラーに加え、地下水が豊富な開成町の環境を利用して地中熱ヒートポンプチラーを採用しています。

空気調和設備は執務エリアを全面的に輻射空調を採用し、空気の搬送に係るエネルギーの削減を行いました。また潜顕分離型空調機を併用するすることで、湿度を制御し室内温度を緩和した状態でも、快適な室内環境を実現しています。






ZEB庁舎として成長し続けています。

開成町新庁舎は2020年5月に竣工し開庁を迎えていますが、現在もエネルギー使用状況、室内環境実測結果等を集計・分析しています。松田平田設計では、庁舎としてご利用いただいている状態での室内環境評価、環境満足度評価も行っています。
運用段階においてもエネルギー・快適性の継続評価を行い、ZEBが実現し続けるよう見守っています。(協力:早稲田大学田辺新一研究室)



認証の概要をご覧いただけます(外部リンク)
開成町HPへのリンク

MHSは開成町新庁舎等での経験を活かし、2025年度に自社が受注する設計・コンサルティング業務のうち、ZEBが占める割合を50%以上となるよう目指します。
松田平田設計の環境配慮設計への取り組み

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